産業廃棄物収集運搬業は、工場や建設現場などから排出される廃棄物を適正に処理施設まで運搬する重要な業務です。この業務を行うには、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」に基づく都道府県知事の許可が必要です。
本記事では、京都府京田辺市において産業廃棄物収集運搬業を新たに開始したい方を対象に、許可取得の具体的な方法とその際の注意点をわかりやすく解説します。
■ 許可取得の基本概要
対象地域と許可権者
- 営業所所在地が京田辺市にある場合:京都府知事の許可が必要
- 収集運搬を行う地域(運搬先など)が他府県をまたぐ場合は、その都道府県ごとに許可が必要
■ 許可取得のステップ
STEP 1:要件確認と準備
許可を取得するためには、まず以下の要件を満たしているか確認します。
- 欠格要件に該当しないこと(刑事罰、暴力団関係、過去の許可取消など)
- 必要な講習を修了していること
- 適切な構造を持つ車両と、営業所・車庫の設置
- 法人の場合は、定款に「産業廃棄物収集運搬業」の記載があること
STEP 2:講習会の受講
許可申請には、**JWセンター(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)**が実施する講習の修了が必要です。
- 講習名:「産業廃棄物収集運搬課程(2日間)」
- 費用:約20,000円
- 修了証の有効期間:5年間
※申請時には、講習修了証の写しを添付します。
STEP 3:必要書類の作成
法人が申請する場合、以下の書類を提出します。
| 書類名 | 内容 |
|---|---|
| 許可申請書 | 京都府所定様式。記載内容に誤りがないよう注意 |
| 講習修了証の写し | 有効なもの(5年以内) |
| 登記事項証明書 | 発行から3ヶ月以内 |
| 定款の写し | 事業目的に「産業廃棄物収集運搬業」の記載 |
| 財務諸表(3期分) | 経営の安定性確認のため |
| 車検証の写し | 使用する全車両について提出 |
| 車両の写真 | 側面・後方・荷台・表示部分がわかる画像 |
| 営業所・車庫の写真・図面・位置図 | 実在性と法適合性の証明資料 |
| 住民票(役員全員・本籍地記載) | 欠格要件の確認用 |
| 履歴書(役員分) | 学歴・職歴・資格などを記載 |
| 法人印鑑証明書 | 発行3ヶ月以内 |
※個人事業主の場合は内容が一部異なります。
STEP 4:申請書の提出と手数料納付
提出先
- 京都府庁 環境管理課 または
- 京都府山城北保健所(京田辺市を管轄)
提出方法
- 原則:窓口持参のみ
- 郵送不可
- 提出部数:正副2部
手数料
- 新規申請:81,000円
- 納付後、「納付済証明書」を申請書類に添付
STEP 5:京都府による審査
提出された書類をもとに、以下のような内容で審査が行われます。
審査内容
- 欠格要件に該当しないか
- 営業所・車庫の所在地、実在性、用途地域の適法性
- 車両の構造や表示が法令に適合しているか
- 財務内容が安定しているか(赤字・債務超過の有無)
- 提出書類間の整合性(名前、住所、日付などの一致)
審査期間
- 通常:約60日
- 補正対応が発生した場合はさらに延長
STEP 6:許可証の交付
審査が通過すると、産業廃棄物収集運搬業の許可証が交付されます。
- 許可の有効期間:5年間
- 許可証には、取扱可能な廃棄物の種類・営業所住所・車両台数などが記載
■ 許可取得後の義務
許可を取得した後も、以下の事項に注意が必要です。
- 車両や営業所の変更があった場合は、速やかに「変更届出」を提出
- 5年ごとの更新申請(期限の3ヶ月前から可能)
- マニフェストの管理、契約書の作成・保管
- 関係法令の遵守(廃掃法・条例など)
■ よくある注意点
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 定款の事業目的に記載がない | 申請不可 → 定款変更・登記変更が必要 |
| 車両表示が不備 | 審査時に不適格となる可能性 |
| 営業所が住宅専用地域にある | 用途地域制限により不許可となるケースあり |
| 書類の不整合 | 補正・再提出が必要になることも |
| 財務状態が不安定 | 資金計画書や補足説明書でフォローが必要 |
■ 行政書士への依頼も選択肢
初めての申請で不安がある場合、行政書士に依頼することで、書類作成・提出の代行が可能です。
行政書士を利用するメリット
- 書類の不備を防げる
- 補正対応も任せられる
- 本業に集中できる
費用相場
- 10〜20万円前後(新規申請)
■ まとめ
京都府京田辺市で産業廃棄物収集運搬業を開始するには、正確な手順と法令の理解が不可欠です。講習の受講から書類作成、申請、審査、許可取得まで、丁寧な準備を心がけましょう。
行政とのやり取りに不安がある場合や、スムーズな申請を目指す方には、行政書士への依頼も効果的な手段です。確実な許可取得のために、早めの行動と的確な対策をおすすめします。



